『私はどうして販売外交に成功したのか』という本を知っていますか?
タイトルから分かる通り、営業・セールスマン向けの本です。
Amazonの商品紹介欄にも以下の記載があり、この本がいかに長年に渡りセールスマンに愛用されてきたかがわかります。
あのデール・カーネギーをして、「本書を一冊手にするためには、シカゴからニューヨークまででも、喜んで歩いてゆく」と言わしめた名著中の名著。
僕はどちらかと言えば技術職、エンジニアなのでこの本は自分とは関係ないと思っていました。
しかし20代の頃に上司から薦められたのをきっかけに読んでみると、この本の影響でエンジニアとしての業務効率や仕事の向き合い方が大きく改善されていきました。
この本から学んで実践した結果
- いままで5日かかっていた仕事が2日で終わるようになった
- 毎年出世して3年間で給料が2倍以上になった
- 新規事業を任され、業界一位の成果をあげれた
もちろんこの本だけでこれらの成果に結びついたわけではないですが、これらを成し遂げる過程でなんども読み込んだ本です。
営業マンだけでなく、すべてのエンジニアにとっても有意義な本になので、今回はこの本から来週の仕事が改善される5項目を厳選して紹介します。
この記事を読めば、サザエさん症候群とは無縁な週末を過ごせることでしょう。笑
自分の仕事に情熱をもて
情熱の人となるのは、情熱をこめた行動をせよ
いきなり精神論きましたね。笑
エンジニアにとっては精神論より、具体的な改善策がお好みでしょうか。
ただやはり周囲の優秀なエンジニアを見ると自分の仕事に情熱を持っている人が多い気がします。
「ちょっと面白いもの作ったんだけど」
そうやって話しかけてくるエンジニアの作ったものはだいたいすごいです。笑
ここでのポイントはただ単に情熱を持とうということではないです。
そう、それじゃなぜもっと熱のこもった話し方をしないんだ。
君のしゃべっていることに、君自身が生気と活力をもたなきゃ、どうして聞いている人に興味を感じさせられると思うかね。
どんな仕事においても周囲を巻き込むというのは大事なことです。
僕が考える周囲を巻き込むとは、自分の働きやすい環境を整えること。
そのために自分の目の前の仕事に興味をもって、協力してくれる人が不可欠です。
ひとりでできる仕事なんてたかが知れています。
自分の仕事に対する話し方、話すときの姿勢を改善するというのがポイントです。
情熱を持った話し方を心がけて、自分の仕事の協力者を集める
自分の行動を記録する
記録の示すところによると、私の契約高のうち70%までは、たった1回の面談によって得たもので、23%は2回の面談であり、7%じゃ3回以上面談して得た契約である
あなたは自分の仕事の時間を記録しているでしょうか。
20代の頃、上司に5分あったらなにができるか、10分あったらなにができるか、1時間あればなにができるか、瞬時に判断できるように仕事の時間を記録しろと言われました。
エンジニアの仕事は時間との戦いです。
見積もりを作るとき、瑕疵対応をするとき、常に問われるのは、「どれくらいの時間でできる?」です。
工数を正しく算出できるかどうかは、経験でしかありません。
常に自分がどんな作業にどれだけ時間を使っているかを記録し、その時間がいくらの価値を生み出しているかを記録することが重要です。
自分はToggl(トグル)というサービスを使って時間を計測するようにしています。
必要以上の機能がなく、シンプルで使いやすいので明日から時間を計ってみようという方におすすめです。
- 仕事は時間の中でしかできない。
- 自分の時間は計測してはじめて知ることができる。
自分で自分を監督せよ
僕がこの仕事で多少なりとも成功しているとしたら、その原因は他でもない、毎週金曜日はほかの仕事をいっさいやめて、来週のスケジュールを作ることに専念するからなのだ。
普段仕事に取り掛かる時にどのようにしていますか?
僕は以前は目の前の仕事をただひたすら片付けているだけで、ひとつの仕事が終わったら、次はなにをやろうかと考えてから次の仕事に取りかかるようにしていました。
しかしこのやり方では、仕事がひとつ終わるたびに思考を働かせなければならず、とても非効率でした。
この本を読んでからは、毎週金曜日に次の週のスケジュールに2時間を割くようにしました。
2時間というとそんな余裕がないように聞こえるかもしれません。
たしかに最初は余裕がありませんでした。
でもスケジュールを正しく立てた翌週は仕事が早く終わり、充分な時間を金曜日のスケジューリングにあてることができました。
当然、仕事は毎日変化するので、毎日仕事が終わる30分前には次の日の段取りを整えるようにしています。
こうすることで当日は頭を働かせることなく目の前の仕事に集中できます。
仕事がはやく終われば、スキルアップのための勉強をしたり、好きなものをプログラミングする余裕も生まれます。
エンジニアにとって時間管理とスケジューリングのスキルは必須ではないでしょうか。
僕の場合はこの結果として5日間、つまり1週間かかっていた仕事を2日で終わらせることができるようになりました。
これは大げさではなく本当の話です。
毎週金曜日を「自分自身を整理する日」とし、翌週のスケジュールを充分な時間をかけてたてる。
相手の意見に反対しない
相手の反対に対しては、絶対に反抗する様子を見せてはなりません。あくまで相手の意見を尊重しながら、しかも相手がこちらの立場を承認しなければならならなくなるような質問をつぎつぎと投げかけるべきです。相手は、その質問に得意になって答えるはずです。第二の質問にも、第三の質問にも。そして最後には、まるで自分が初めから、あなたと同じような意見を持っていたといわんばかりの結論に達します。もちろん、あなたのほうの誘導がうまくいけばの話ですが、、、
この話は営業の商談の話なのですが、エンジニアでも役立てることができます。
プリセールスや要件定義など、エンジニアが客前に立って話をすることも少なくないでしょう。
そのときにお客さんの意見・考えが間違っているように聞こえることも多いはずです。
それはシステムにはあなたのほうが詳しいのだから仕方ないでしょう。
「そんなことも知らないのか。」
「何を言っているんだこの人。」
そう思っても決してそのようなリアクションはとらないほうが無難でしょう。
相手の意見を否定せずに、自分が持っていきたい話の方向に誘導するように心がけるだけでも、要定義がスムーズに進行したりします。
個人的に気をつけているのは、仕事には人様がいることなので決して自分の思い通りにはいかないと思うことです。
テスト勉強は自分と試験問題の戦いですが、仕事には相手がいます。
反対意見を述べる場合にも、憎々しいものの言い方をせず、誰にもわかるような説明と注意深いものの言い方で、切り出していくように努力する。
「…と思いますが、あなたはどうお考えになりますか」
相手方にものを考えさせるように仕向ける最上の方法のひとつは、相手方に質問をすることである。
相手の意見を否定せずに自分の想定内に話をおさめていくためには、質問の力を利用するということ。
「なるほど。この点に関しては〇〇と思いますが、どうでしょうか」
このように相手に反論せずに自分の意見を伝えることで、相手に考えさせることが大事です。
〇〇と思います!
と言い切るのではなく、相手に考えさせるような質問をしてみましょう。
- 相手の意見を否定しない
- 自分の意見と質問をセットにして、会話を想定内の範囲に導く
直接の証拠を示せ
最も早く人の信用を獲得する確実な方法は、「証人」を持ち出すことである。
ここでの学びはこの本で伝えたいことと少しズレます。
エンジニアは上司やプロジェクトマネージャーに意見を求められることがあります。
そのときに心がけていることは、事実と意見を切り分けることです。
自分がプロジェクトマネージャーをしていて一番困るのは事実と意見をごっちゃにして話す人です。
意見を聞きたくないわけでないですが、一番信用できるのは事実です。
なにかシステムに障害が起きている時に、エラーログや実際に起きている現象は事実ですが、原因は〇〇だと思いますというところは意見です。
上司やPMに間違った情報を渡すと、正しく間違った判断をします。
なにが相手が信用できる情報で、なにが参考になる情報かを区別して考えることが大事ですよね。
事実と意見を区別して話す
おわりに
今回の内容をまとめたいと思います。
『私はどうして販売外交に成功したのか』は営業向けの本として有名な本ですが、エンジニア目線でも学ぶことが多い本です。
特にエンジニアとして出世していけば、プリセールスであったり要件定義といった上流工程で顧客と相対する場面が増えてくると思います。
そのときには、この本の内容がさらに役に立つはずです。
プログラミング等のスキルアップ以外にも仕事のやり方の面で参考になると思います。
今回は以上です!
引用・参考文献:フランク・ベドガー (1982).私はどうして販売外交に成功したか ダイヤモンド社
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